
世間で関心の深い「共謀罪」という言葉を聞かれたことがあるでしょうか。
2人以上の人達が集まって犯罪を計画した場合、その段階で逮捕されてしまうというものです。
世界中を騒がせているテロ事件を防ぐためのもののようですが、
そこにはいろいろなことが生活にも関係してきます。
この記事では、
「共謀罪」とは何なのか?
それが成立したらどういうことが起こり得るのか?
について基本的な部分のお話しをしたいと思います。
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このページの目次
「共謀罪」とは何だろう?
改めて「共謀罪」とは、ある特定の犯罪を行おうと具体的にまた現実的に合意することにより成立する犯罪の事です。
実際に犯罪を行わなくても、何らかの犯罪を共謀したなら検挙や処罰をすることができるものです。
つまり、重大な犯罪に当たる行為を団体として、また組織として実行しようと共謀した場合、
実際に行動を起こさなくても、それだけで罪に問えるというものです。
「共謀罪」の法案提出の経緯や流れ
2000年に国連総会で国際組織犯罪防止条約が採択されました。これに加入するための法整備として2003年から3度にわたり、日本政府は国会に法案や修正案を提出しましたが成立しませんでした。
その後2015年11月17日に、テロ対策強化の一環として「共謀罪」などの法制化を進める必要があるという考えが、官房長官らによって示されています。
その後、日本の組織的犯罪法の、
「第二章 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の没収等」に新設することが検討されました。
そして、2017年の第193回国会において「共謀罪」の構成要件を改め、
「テロ等準備罪」を新設する「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案」
が内閣により提出されています。
6月15日には、参院本会議で自民・公明・日本維新の会などの賛成多数で可決、成立しています。
「共謀罪」に対するどんな懸念があるのだろう
まず、実際に犯罪行為が行われていない段階での検挙や逮捕ができるという「共謀罪」は憲法の理念に反するという考え方があります。例えば、一般市民が社会運動を行ったり、抗議活動を行った場合にも適用されるのではないかという懸念もあります。
法務省によりますと、
「共謀罪」は暴力団による組織的な傷害事件や悪徳商法などの組織的詐欺などが対象となるということです。
ですから、国民の一般的な社会活動が「共謀罪」にあたることはないとしています。
しかし、現に盗聴などの行き過ぎた捜査が行われた例もあります。
日本弁護士連合会による「共謀罪」の説明
ここで日本弁護士連合会によります「共謀罪」の見解をご紹介しておきましょう。やや長いですが、以下が原文の通りとなります。
「『共謀罪』とは2人以上の者が、犯罪を行うことを話し合って合意することを処罰の対象とすることです。
具体的な行為が行われていないのに、話し合っただけで処罰するのが『共謀罪』の特徴です。
しかし単なる『合意』というのは『心の中で思ったこと』と紙一重の段階です。
近代刑法では犯罪意思(心の中で思ったこと)だけでは処罰せず、それが具体的な結果や被害として現れて初めて処罰の対象になるとしています。
いずれも『行為』があって初めて犯罪が成立するというのが刑法の大原則です。」
具体的な行為が行われていないのに、話し合っただけで処罰するのが『共謀罪』の特徴です。
しかし単なる『合意』というのは『心の中で思ったこと』と紙一重の段階です。
近代刑法では犯罪意思(心の中で思ったこと)だけでは処罰せず、それが具体的な結果や被害として現れて初めて処罰の対象になるとしています。
いずれも『行為』があって初めて犯罪が成立するというのが刑法の大原則です。」
と説明しています。
「共謀罪」が成立するとどんな社会になるのだろう
スポンサーリンク確実な検証結果があるわけではありませんが、
「共謀罪」が成立するとどんな社会になるのかを少し掘り下げてみたいと思います。
ジャーナリストの斎藤貴男氏によりますと、
「共謀罪」はテロ集団の「関係者」と見なされた者の犯罪計画への「合意」自体が犯罪とされる悪法と説明しています。
そして、マイナンバー制度をはじめとする監視システムと連動し、自由のない総管理社会を招来するものとも述べています。
さらには、
「要は“テロ集団”や“組織的犯罪集団”の関係者と見なされた者が何らかの“準備行為”を起こしたと見なされれば、実際の犯行に至っていない計画の段階であっても、投獄ないし罰金刑に処せられる罪状だとし、狙われた人間はその時点で“一般国民”の扱いから外される」
とも述べています。
また、2013年11月に当時の石破茂自民幹事長がご自身のブログに書いた、特定秘密保護法に反対する国会周辺のデモを、
「単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらない」
といったのを引き合いに出し、
「このことが象徴しているように、もっと言えば国民一人一人の思想、それ以前の思いや考えだけでも取り締まりの対象になり得る」
とも述べています。
いかがでしょうか?
「共謀罪」による社会生活への不安が少し見えてきたようにも思われます。
まとめとして
この記事では「共謀罪」というとても難しい問題を取り上げてみました。難しい問題ではありますが、この法案が成立した場合、
「知らず知らずのうちに犯罪者になっているということも、起こりかねない社会」
になろうとしていることに気付くべきなのかもしれません。
ただ、いたずらに不安に思うよりも、何が正しいのかを改めて問いただす機会を持つことも大事ではないでしょうか。