
ケガや、やけどをしますと一般的には、最初はまず消毒することが大切だと言われています。
ところが、消毒をしない方が比較的早く治りますし、痛みも軽減し傷跡も残りにくいようです。
さらには、傷口は乾燥させないようにすることも大事といわれています。
今回は、そんな意外な傷の治し方の「湿潤療法」といわれる療法についてのお話です。
ところで、からだにできた傷などは一応ほっておいても自然に治っていくものですが
ではいったいどうやって治っていくのか?
その治っていく順序などを予備知識として理解しておきましょう。
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傷が自然治癒で治るまでの順序とは
一口に、「傷」といいましても切り傷や擦り傷、そして刺し傷など実にさまざまな種類がありますが簡単にいいますと「皮膚の損傷」となります。
その皮膚の損傷ができても、私たちには元々自己治癒力というものがありますので、傷を修復して治そうとします。
その、傷を修復して治っていく順序を理解しておきましょう。
① 傷口から出血すると止血しようと血小板が集まる
② 白血球が傷で死んだ組織や細菌を取り除く
③ コラーゲンを生成する細胞(線維芽細胞)が傷口をくっつける
④ 表皮細胞が集まり傷口をふいでくれる
ようするに
この順序をよく理解して、傷を治す必要があるのです。
順序を妨げるようなことをしてはいけないということですね。
では、もう少し具体的に傷の治し方などをみていきましょう。

傷は消毒しない、乾燥させない「湿潤療法」とは
冒頭でもお話ししましたが一般的にケガをしますと、まずは傷口を消毒液で消毒をするといわれてきました。
ところが、この消毒液は悪い菌をやっつけてくれると同時に、傷を治してくれる細胞までやっつけてしまうのです。
では、まったく消毒しなくていいのか?

と、気にはなりますが
傷口は水道水で洗い流す程度で十分な
ようです。
その後は、自然治癒力で治っていくのを
待つわけですが
その方法を「湿潤療法」といいます。
湿潤といわれるように、ケガをしたときに傷口からでてくる透明な液の力を利用することになります。
実はこの液の中には細胞培養液が含まれていてケガの治癒にとても役立っているのです。
この液が常に傷口をおおい、適切な湿潤環境が保たれた状態で傷口を治すという療法になります。
また、この療法はかさぶたができにい特徴もあります。
普通、ガーゼを使った治療ですと下にかさぶたができ、ガーゼをとるときにかさぶたがはげ痛みがありますが、その心配がないということですね。
痛みがないので、子供さんにはとても理想的な療法にも思われます。
つぎでは、湿潤療法はご家庭でも可能ですのでそのやり方などをみていくことにしましょう。
湿潤療法のご家庭でのやり方

すり傷や切り傷、あるいはあかぎれなど日常的に起こるケガの場合はご家庭でも「湿潤療法」をおこなうことができるようです。
では、その手順をみてください
家庭でできる湿潤療法の手順 |
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① 傷口から出血している場合はまず止血をする |
② 消毒液は使わずに水道水で傷口をきれいに洗います |
③ 適切な「創傷被覆材」を使用して患部を保護し傷は乾かさないようにする |
④ 創傷被覆材の表面に滲出液がしみ出てきたら交換をする |
最近では、この湿潤療法を用いた絆創膏が薬局で販売されているようです。
それを購入してご家庭で使われるときには、傷の観察のために必ず1日1回は交換した方がよいようです。
傷の状態ですが、噛み傷や刺し傷、あるいは裂傷などといった場合には奥深くまでばい菌が入り込んでいることもありますので、病院で診察を受けるようにしましょう。
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まとめとして
「湿潤療法」はいままでの手当てよりも、傷が比較的早く治りますし傷跡が残りにくい手当てとなっています。ただ、紫外線で色素沈着が起きるといわれていますので、傷口が治り皮膚の再生が完了してから3カ月くらいは、直射日光を避けた方がよいようです。