世帯主の変更

少子高齢社会で1世帯の人数が次第に減少しています。


そのような環境の中で、世帯主の変更により日常生活の問題を解決していこうという社会的な機運が高まってきています。


ただ、世帯主変更にも条件があるようです。


今回は、その世帯主変更の条件について考えてみたいと思います。
また、世帯主変更した場合のメリットデメリットも参考になさってください。




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 まずはじめに世帯とは?

ここでいう「世帯」とは住民票上のものを意味してます。

日常よく言われている


「世帯持ち」
「世帯じみた」

といった言葉とは異なります。

また戸籍ともまったく関係のないものです。


ところで

「世帯」のことを

「居住と生計をともにする社会生活上の単位である。」とされています。


「居住」と「生計」

という2つを要素とするものですから、たとえ夫婦であっても別居している場合には別の世帯になります。


最近よく使われている

「二世帯住宅」

という言葉もこれを象徴していると言えます。


さて、この「世帯」の主宰者である「世帯主」ですが、変更するにも条件があるのです。
では、今回のテーマとなっています「世帯主」を変更するための条件とはなんなのか?


それでは、基本的な知識を交えて順を追って説明させていただきます。


やや長文にはなりますが、知識としてしっかり読み取っていただけたらと思っています。


 世帯主とはだれのこと?

世帯には必ず1人の「世帯主」を定めなければなりません。

1人の世帯であればその人本人が世帯主となります。


2人以上の世帯においては

「主としてその世帯の生計を維持している者、及びその世帯を代表する者として社会通念上妥当であると認められる者」
とされています。


わかりやすく言いますと

「その世帯の大黒柱となる人」のことを意味していると考えてよいでしょう。


では、なぜ世帯主を定めなければならないのか?

これについては、

① 住民票が世帯ごとに編成されているために、その検索機能の充実の役割がある。

② 市区町村役場から住民への連絡を合理的かつ迅速に行うことができる。

③ 続柄をわかりやすく表記するためでもあります。
(→ 住民票の続柄は、すべて世帯主からみた続柄が記載されています)


以上のような理由があります。


さて、戸籍には「筆頭者」という表記があります、

こちらは、インデックスとしての役割を果たしている部分が大きいです。


それに対して、住民票の「世帯主」は、先程の説明のとおり実質的な理由があるのです。

とりわけ現在では効率的な行政手続き・事務処理を行う努力をされています。


そのため、国民健康保険などをはじめとして、住民票の「世帯主」が多岐にわたって利用されています。

以上のように、「世帯主」を決めることの重要性を少し認識していただけましたでしょうか。


ところで、戸籍の「筆頭者」であるからといって住民票の「世帯主」になるというわけではありません。


ただし、「世帯主」になるには主たる生計を維持しうるに足りるだけの、ある程度の年齢に達していることが必要になります。



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 「世帯主」の変更が必要になる条件とは?

世帯主の変更ですが、その世帯のなかで


「主たる生計を維持している者、世帯を代表すると認められている者」

に変更があった時であるというようなことになります。


具体的には、

イ、世帯主が転出・転居した時 
ロ、世帯主が死亡した時
ハ、世帯合併・世帯分離した時


以上のような条件が発生した場合があげられます。


それぞれの内容を説明させていただきます。


イ、世帯主が転出・転居した時
世帯主の人が転出する場合ですが、その世帯が一人世帯であれば世帯主変更の手続きをする必要はありません。

転出届・転入届だけでよいのです。

複数人の世帯で世帯主であった人が転出した場合には、残つた人の誰かが世帯主となって世帯主変更の手続きをしなければなりません。

さて、世帯主が単身赴任などにより転出する場合の注意点があります。

単身赴任であっても、基本的には世帯主変更の手続きをする必要がありますので注意しておいてください。


ロ、世帯主が死亡した時                                  
この場合は、住民票上は転出の場合と同様に除票となります。
なので、世帯主変更の手続きが必要になります。

また世帯主が死亡しても、その世帯に残っている人が一人だけになるのであれば、当然その人が世帯主となります。

その時の具体的な手続きですが、

前の世帯主の死亡届以外にはとくに「世帯主変更」の手続きをする必要はありません。
役所において、職権により一人世帯としてその人を世帯主に修正されます。


ハ、世帯合併・世帯分離した時
① 世帯合併とは:
同じ住所に2世帯あった場合に、その2世帯を1つの世帯にすることを「世帯合併」といっています。

従前は2世帯であったので、それぞれの世帯に1人ずつ世帯主が存在していました。
ですから、合併後は当然どちらかが世帯主となります。

この世帯合併ですが、あくまでもそれぞれの世帯の住所が同一であったときしかすることはできません。

たとえば住所が1番地違いの2つの世帯を1つの世帯にする場合ですと、

世帯合併ではなく、世帯の転居となり、転居届によって世帯合併したということになります。


ところで、この世帯合併をするメリットを少しご紹介しておきましょう。

それは、国民健康保険の保険料が安くなる場合があるということです。

この国民健康保険は個人単位の制度ではあるのですが、その保険料は世帯単位で徴収されます。


その保険料ですが、年間約70万円の世帯の上限額が設けられています。

仮に、別世帯で保険料がその上限を超える場合に、世帯合併をすればその上限を超える保険料は払う必要はなくなります。


また世帯主ごとに支払っていた平等割の保険料の部分を減らすこともできます。



さて、同じ住所に一人世帯が2世帯あって、その2人が婚姻届を出した場合の注意点があります。

婚姻届を住所地の市区町村の役所に出したのであれば、同時に世帯合併の手続きをすることができます。

ですが、住所地以外の役所に婚姻届を出したのであれば、改めて住所地の役所に世帯合併の手続きをしに行く必要があるのです。

つまり、この手続きをしないと夫婦でありながら別世帯の状態のままになります。

なぜなら「住所が同じであるなら同一世帯である」というのが民法の大原則であるからです。






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② 世帯分離とは:
こちらは、これまで同じ一つの世帯であったものを、複数の世帯に分離しそれぞれ世帯主がいる状態にすることす。

こちらもまた住所がまったく変わらないことが条件となります。


世帯分離のメリットとしましては、

介護サービス利用料や介護保険料は、それぞれの世帯所得金額により負担額の上限が設けられています。

利用者を、世帯分離により単独世帯とすことによって、全体の負担額が軽減される場合があります。


反対にデメリットとしては、

国民健康保険に関わることですが、世帯分離をすることによって、世帯主それぞれが国民健康保険に加入することになります。

そうしますと、介護サービス利用者の所得が高い場合には、保険料の負担増になることが考えられます。


 いつだれが変更の手続きをし何が必要なのか?

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まず、世帯主変更の届出期間ですが

変更の日から14日以内に届出の手続きをしなければなりません。


手続きは、

本人か世帯主
又は代理人

がすることになりますが、代理人がする場合は委任状が必要になる場合があります。


では、手続きには何が必要になるのか?
世帯主変更でとくに必要な書類などはありませんが、

本人や世帯主が手続きをする場合は、


  • 本人の認印
  • 国民健康保険証
  • 老人医療受給者証
  • などを持参するとよいでしょう。


     まとめとして

    以上のように世帯主変更の条件は、ケースバイケースでその人の生活状況によって異なります。


    どのケースに該当するのかを慎重に判断され、日常生活上の問題の解決に役立てられて下さいませ。

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