私たちは普段なにげなく
「及び」とか「並びに」
といった言葉を使っていますね。
でも、ふと考えてみるとこの2つには違いはないのだろうか?
と思ったことはありませんか。
今回はこれら2つの言葉の使い方について具体例を交えて説明させていただきます。
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このページの目次
そもそも「及び」「並びに」ってどんな意味?
辞書を調べてみますと「及び」は ⇒ 「~と」、「そして」、「~も~もみな」
という意味があります。
複数の物事や事物を一つ一つ並べてあげたり、付け加えて言ったりするのに用いられます。
「並びに」についても ⇒ 前後2つの事柄をつなぐのに用いる語
というふうに書かれています。
では、具体的にはどうなのか以下の2つの例文を見てください。
①「校長、及び(並びに)教頭はすぐ職員室へ来てください。」
②「感謝状、及び(並びに)お礼品をさしあげます。」
このように一般的には、どちらも区別なく使われています。
なので一般的にはどちらを使っても間違いではありません。
それでは2つの語は全く同じなの?
今までの説明では、「及び」と「並びに」の2つは同じもののようにも聞こえます。
結論から言いますと、法令用語としては区別されています。
(→ ちなみに法令用語とは法律用語のことです。)
法令用語としてみた場合に、
「及び」は ⇒ 意味的にあるいはニュアンス的に、その差が小さいものを並べて述べるのに使われます。
「並びに」は ⇒ その逆で、つまり意味的にもニュアンス的にもその差が大きいものを並べて述べるのに使われます。
具体的な例文の方が分かりやすいでしょう。
例えば、バラ組さんとゆり組さんがあったとします。
それぞれの組の「キャプテン」と「副キャプテン」を呼ぶ場合の文を作ってみました。
では、以下の例文を確認なさってください。
「バラ組さんのキャプテン及び副キャプテン、並びにゆり組さんのキャプテン及び副キャプテンは急いで来てください。」
上の文は法令用語としては正しいものとなっています。
それでは、この文の説明をさせてもらいますと、
それぞれの組の「キャプテン」と「副キャプテン」は同じチーム内の人です。
つまり意味的に、そしてニュアンス的にも差は小さいです。
なので「及び」を使います。
それに対して、「バラ組」と「ゆり組」はまったく別のチームになります。
つまりこちらは意味的、ニュアンス的にも大きいですね。
だから「並びに」を使うのが正しいと言えます。
「及び」「並びに」の使い方の例文
スポンサーリンクもう少し「及び」「並びに」の使い方を例文を交えて見ていくことにしましょう。
以下の例文を見てください。
①「えんぴつ及びペンシルペン」
①「えんぴつ及びペンシルペン、並びに三角定規」
②「にんじん、ジャガイモ、たまねぎ、及びブロッコリー」
②「にんじん、じゃがいも、たまねぎ、並びにりんご」
それぞれの文を比べてみますと、
①の例文では、三角定規だけがえんぴつ、ペンシルペンと種類が異なるので「並びに」を使っています。
②の例文でも、りんごだけが果物ですから「並びに」が正しいと言えます。
「及び」と「並びに」は英語の “and”でいいの?
日本語から離れて、英語で頭の体操をしてみましょう。
今までの話題から少し離れた、豆知識のような内容になります。
英語の “and” という単語があります。
その“and” ですが、「及び」と「並びに」と同じ意味のようにも思えます。
でも使い方には注意しないといけません。
それは、時々この2つの語を説明するのに、
「及び」は英語の “and”
「並びに」は英語の “or”
に当てはまります、というのをみかけます。
でも、それは少し違っています。
と言いますのも、
『 and 』は ⇒ 物事、事物を並列に結び付けるのに使われます。
ですが、
『 or 』は ⇒「~あるいは」、「~又は」、「~若しくは」といった意味があります。
つまり「これか、それか、またはそれ」という意味で、その3つのうちのどれか一つということですね。
例えば、もっと具体的にいいますと、
お母さんが
「A ,B and C を食べていいわよ。」
と言ったら、AもBもCもみんな食べていいと言うことになります。
それに対して
「A ,B orC を食べていいわよ。」
と言ったのなら、3つのうち一つしか食べられないことになるのです。
“and” と “or”の単語ですが、
その使い分けの違いがご理解いただけましたでしょうか。
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まとめとして
改めて「及び」「並びに」の違いがお分かりでしたでしょうか。日本語っていうか、言葉って本当におもしろいですね。
こうやって調べてみますと物事を深く知るという楽しさがあります。
今度、「及び」と「並びに」はどっちを使うのかな?
と悩むことがありましたら、
「及び」「並びに」の使い方の参考になりましたら幸いです。